Paper Altar

Paper Altar

紙を主材料とした新しい祈りのかたち

かみと祈り

軽くて、重い。

柔らかくて、硬い。

良質であり、素朴でもある。

尊くもあり、儚くもある。

自由であり、不自由でもある。

かみと祈り -Paper Altar- 『紙の仏壇』

紙をひとつの資材として捉えたとき、
そこには無限の可能性があります。
可能性を模索する中で、
多様化した祈りを受け止める
新しい祈りの形が生まれました。
この Paper Altar に何を感じるでしょうか。

Designers

三澤 遥|Haruka Misawa
三澤 遥 デザイナー
1982年群馬県生まれ。日本デザインセンター三澤デザイン研究室室長。武蔵野美術大学准教授。同大学工芸工業デザイン学科卒業後、家具メーカーやデザインオフィスを経て、日本デザインセンター原デザイン研究所に所属。2014年より三澤デザイン研究室として活動開始。ものごとの奥に潜む原理を観察し、そこから引き出した未知の可能性を視覚化する試みを、実験的なアプローチによって続けている。

手を合わせたくなる姿かたちとは、一体どんなものだろう。世の中にはすでにたくさんの種類の仏壇がある中で、紙にしかできないこととは何か、紙でしか宿せないものとは何だろう。ただの素材の代用品ではない、紙ならではの祈りとの関係を考え、そこに少しずつ輪郭や構造を与えていきました。

ある部屋に仏具が置かれているとします。そこにあるのに潜んでいて、環境に馴染み、空間の静寂が保たれている。その場所に仏具があることに祈り手以外は気づかないような、ひっそりとした佇まい。人が触れたり、時間が経過したりすることで変化する、形があるようでないような形。それは、日々の暮らしに溶け込んでいるからこそ、信じている人にとっては確かに存在するもの。他の人にははっきりと見えないからこそ、素朴で個人的な対話ができるもの。姿かたちではなく、祈り手の信じる心がつくるものを想像しながらデザインを探求しました。

鬼木 孝一郎|Koichiro Oniki
鬼木 孝一郎 建築家 / デザイナー
1977年東京都生まれ。少年時代を英国で過ごし、早稲田大学にて建築を学んだ後、組織設計事務所の日建設計に勤務。その後、有限会社nendo 入社。10 年間に渡りチーフディレクターとして国内外の空間デザインを手がける。2015年、鬼木デザインスタジオ設立。建築、インテリア、展示会の空間デザインを中心に多方面にて活動。一級建築士。

家庭の仏壇の由来は寺院の内陣を縮小したものとされている。そのため、下地の素材として木や金属を使用し、様々な工芸技術によって丁寧に装飾されたものが多く作られてきた。住環境や生活様式の変化により従来の仏壇の姿は消えつつある中、このプロジェクトの目的は、素材を身近にある「紙」とすることにより、宗教的な形式や慣習から離れ、現代のライフスタイルに即した祈りのカタチを探すことにあると考えた。

紙だからこそできる形状や質感を探求する中でその軽さと柔らかさに魅力を感じ、手で触れることが祈りに繋がるようなものができないかと模索した。日常の中でオブジェのように身近にその存在を感じながら、触れることで故人を思い出し時間を共有する、触れる動作がスイッチとなる祈りのカタチを目指した。

  • 積み具〈三澤 遥〉
  • 積み具〈三澤 遥〉
  • 積み具〈三澤 遥〉

積み具 〈三澤 遥〉

積む、組む、拝む。日々、手で触れることで少しずつ変化していく祈りのかたちです。積み上げては消え、消えてはまた別の形状として積み上がる。それは供えた花を取り替えたり、線香を焚いたりする行為に近いかもしれません。暮らしの中に置くものだからこそ、さまざまな空間に自然と溶け込む佇まいを探りました。また、ブロックの裏側にある小さな凹みには、故人の思い出をそっと忍ばせることができます。外箱はそのままブロックを並べる台座になり、持ち運びもしやすいサイズです。紙という身近な素材だから実現できる、人と祈りの親しい距離感や関係性をデザインしたいと考えました。

作者
三澤 遥
作品名
積み具
用紙
GAファイル ブラウン 四六判Y目900kg / GAファイル ブラック 四六判Y目900kg
製作協力
株式会社小林断截、株式会社東北紙業社、株式会社ニューウェル合紙、株式会社泰清紙器製作所
  • white cube〈三澤 遥〉
  • white cube〈三澤 遥〉

white cube 〈三澤 遥〉

光が差すと色が宿る。無数の穴の空いた手のひらサイズの紙の立方体。箱の中に箱があり、その箱の中にも指先に乗るほどの小さな箱が入っています。箱の内側の面には、一見するだけではわからないくらいほのかな色が刷られています。その色が反射光によって近くの面に映り込み、溶け合い、まるでシャボン玉の構造色のように時間とともに表情が変化していきます。繊細な紙の中で起きる動的な現象。小さな空間に広がる大きな世界。いつまでも変わり続ける無限で儚い存在感。はっきりとは見えないからこそ存在を感じる「なにか」と、祈りによって向き合う気持ちが静かに湧いてくるかたちです。

作者
三澤 遥
作品名
white cube
用紙
OK ACカード 白 四六判T目132kg
製作協力
株式会社ロッカ、株式会社ショウエイ、有限会社美篶堂
  • TOH〈鬼木 孝一郎〉
  • TOH〈鬼木 孝一郎〉

TOH 〈鬼木 孝一郎〉

軽さと強度のバランスの優位性から段ボールは古くより木材に代わる資材として梱包用に使用されてきた。その構造を支える波形状の美しさと断面方向から見た際に現れる透け感に着目し、正確にカットした60枚の段ボールを積み上げた六角柱を制作。内部の一部をくり抜くことで透ける度合いを調整し、光にかざすと人のシルエットが薄らと浮かび上がる仕掛けを施した。光に向かって持ち上げる動作が故人への祈りのきっかけとなり、前向きな気持ちへと導くカタチを目指した。

作者
鬼木 孝一郎
作品名
TOH
用紙
NTラシャ シルバー 四六判Y目 100kg / 晒クラフト 100g/m²
製作協力
株式会社超越化研、株式会社泰清紙器製作所 株式会社エースパッケージ
  • KAI〈鬼木 孝一郎〉
  • KAI〈鬼木 孝一郎〉
  • KAI〈鬼木 孝一郎〉

KAI 〈鬼木 孝一郎〉

一見すると中まで詰まった重い塊に見える正十二面体は、開くことで中に空間が現れる仕掛けとなっている。正十二面体は5種類しかない正多面体の一つで、その高い対称性を持った形状は普遍的な美しさを感じるものである。閉じた時は安定したオブジェとして生活の中に存在し、開いた時は祈りの空間へと展開する。大切な人との思い出を入れる場所として、開閉によってその佇まいが大きく変化する切り替えのある祈りのカタチとなった。

作者
鬼木 孝一郎
作品名
KAI
用紙
リッチライト ブラックダイヤモンド / ハイビカE2F ゴールド 四六判Y目68kg
製作協力
株式会社サルトル

展示会レポート

Exhibition Report

質感や色を重視した紙「ファインペーパー」で知られる紙の専門商社・竹尾と共同開発を行なった「Paper Altar」プロジェクト。デザイナーに三澤遥氏と鬼木孝一郎氏を迎え、「紙」という素材や質感を生かした新しい祈りの形を表現しました。2023年9月26日〜10月27日まで竹尾・青山見本帖にてプロトタイプを発表し、延べ約1000名の方にご来場いただきました。ご来場者いただいた皆様、ならびに製作にご協力をいただいた関係者の皆様に感謝申し上げます。

  • 展示会レポート:かみと祈り -Paper Altar- 『紙の仏壇』
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  • 展示会レポート:かみと祈り -Paper Altar- 『紙の仏壇』
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かみと祈り -Paper Altar-

2023.9.26(Fri)- 10.27(Fri) 10:00-18:00
株式会社竹尾 青山見本帖 東京都渋谷区渋谷4-2-5 プレイス青山 1F

主催: 株式会社竹尾 青山見本帖、株式会社若林佛具製作所
プロデュース: 蒔田 勇輔(合同会社コンストラクト)
デザイン: 三澤 遥(株式会社日本デザインセンター) / 鬼木 孝一郎(株式会社鬼木デザインスタジオ)
アートディレクション: 内田 喜基、和田 卓也(株式会社 cosmos)
製作協力: 株式会社小林断截、株式会社東北紙業社、株式会社ロッカ、株式会社ショウエイ、有限会社美篶堂、株式会社サルトル、株式会社ニューウェル合紙、株式会社超越化研、株式会社泰清紙器製作所、株式会社エースパッケージ

株式会社竹尾

1899年の創業以来、紙の専門商社として、色や風合い、豊かな素材感をもつ紙「ファインペーパー」の開発と提供を通じ、紙文化の発展に寄与してきました。国内外の製紙会社と連携して先端技術を取り入れると同時に、時代を牽引する多数のデザイナーとともに創造性を刺激する素材としての紙を生み出しています。