顧みなければならない、失われつつあるものを。
繋げていかなければならない、大切な存在との縁を。
伝えなければならない、人の手が生み出すものを。
忘れてはならない、仕事が職人を育てるということを。
大切な人に向かい、心を通わせるかけがえのない時間。
工芸職人たちの、人の手が生み出す至高の技術と品々。
そのために私たちは、自らの行いを見つめ直し、熟考し、
創り出される存在と事象を、問い掛け、評価を受ける。
新たな時代に“欲しい”と思い、“必要だ”と云わせる
価値を生み出していくために。
1st Collection
raison d'être
顧みなければならない、失われつつあるものを。
繋げていかなければならない、大切な存在との縁を。
伝えなければならない、人の手が生み出すものを。
忘れてはならない、仕事が職人を育てるということを。
大切な人に向かい、心を通わせるかけがえのない時間。
工芸職人たちの、人の手が生み出す至高の技術と品々。
そのために私たちは、自らの行いを見つめ直し、熟考し、
創り出される存在と事象を、問い掛け、評価を受ける。
新たな時代に“欲しい”と思い、“必要だ”と云わせる
価値を生み出していくために。
レゾンデートルとは、存在価値を表すフランス語です。
ライフスタイルの変化とともに姿を消しつつあるものが二つあります。それは仏壇と工芸技術。昔は誰に家にでも置いてあった仏壇、建築物だけでなく家で使う食器などでも普段から触れていた工芸によって作られたモノ。私たちが子供のころは身近にあった存在が、これからの子どもたちには存在しない状態が当たり前になりつつあります。時代の変化とともに失われていくものは多いですが、その中に残すべき価値の在るものもあったはずです。気付かないうちになくしてしまう前に、もう一度その価値を問い直したいと私たちは考えました。
それは決して宗教的な観点からではなく、“仏壇” や“工芸”という存在が果たしてきた暮らしの中に於ける役割を見つめ直すことでした。
“仏壇”が与えてくれる1日の中のひとときの時間や家族の繋がり。“工芸”が与えてくれる人の手による手作りの風合いや感触。日本に残すべき文化や習慣に介在するモノを今一度皆さんと見直してみたいと思ったことからレゾンデートルは始まりました。
仏壇の存在価値と、工芸の技術を暮らしの中に取り入れてもらうための本プロジェクトでは、ひとつひとつの作品に複合的な伝統工芸の技術を取り込んでいます。それは寺社仏閣や実家にあった仏壇と同じように、漆塗、金箔押し、錺金具、蒔絵、彩色などさまざまな工芸技法の集合体として作られています。
今までにない新しい仏壇や祈りのカタチを考える上で最も大切にしたことは、脈々と受け継がれてきた歴史・文化・技術の背景をしっかりと捉え、新しい様式の中に生まれ変わらせることでした。時代にとって変化するべきものと、継承され受け継がれる価値を残すこと、その両立がこのプロジェクトの根幹でもあります。
そのため、お仏壇という存在を、寺院のミニチュアをご家庭に祀っていたという建築的側面、家の中の人の集まるところに配されるインテリアとしての側面、手を合わせ祈りの対象となるオブジェとしての側面。その3点を抜き出し再構成することに挑戦したのです。建築家、インテリア・プロダクトデザイナー、アーティストなど国内外で活躍する6組のクリエイターに、仏壇の存在価値と、祈りを伴う時間の価値、そして伝えていくべき工芸技術の価値を見据えたうえでそれぞれの思い描く祈りのカタチを表現していただきました。
仏壇は日本独自に生まれてきた文化ですが、大切な存在を失った時、思い出とともにその姿や身の回りのものを傍に置き、時として懐かしく思い浮かべるのは世界中で共通した根源的な行為です。そして大切な存在と向き合う時、人は懐かしさや寂しさだけでなく安らぎや優しさを感じ、同時に自分自身に向き合うとても個人的な体験を得ることができます。仏壇の持つ役割は宗教という概念を超えて、自分自身と向き合い心を解き放つきっかけとして、暮らしの中に新たな価値を与えていくことかもしれないと私たちは考えています。
そして伝統とは長い時代を経たことを表す呼称であるが故に、時代の変化に取り残されがちなイメージを持つこともありますが、江戸・明治・大正・昭和・平成、そして令和…。日本という国は政治的にも経済的にも文化的にも数多くの変化を乗り越えて今があります。伝統工芸は変化しなかったから残ってきたのではなく、変わり続けてきたからこそ現代に残っているのではないでしょうか。変わらなかったのは時代のニーズや技術革新に晒される中で、挑戦と創意工夫の末に「ヒトの手が生み出す至高のモノ」を生み出し続けてきた職人の姿勢だけかもしれません。
Exhibition Report
raison d'être(レゾンデートル)1stコレクションは、東京の街を舞台に開催されるデザインとアートの祭典DESIGNART TOKYO 2019の期間に合わせて、2019年10月18日~27日までの10日間、東京・表参道にて展示を開催させていただきました。伝統工芸を用いた仏壇コレクションの発表というとても特殊な企画であったにも関わらず、展示会期中には総勢950名もの数多くのお客様にお越しいただけたことに多大な感謝を申し上げます。
若林佛具製作所では、本コレクションの第2段も企画していくとともに、仏壇の在り方や伝統工芸の職人たちの新たな活躍の場を広げるべく今度も様々なプロジェクトを通して発表の機会を作っていこうと考えております。仏壇のある暮らし、そして日本が誇る工芸技術を将来に伝えるべく活動してまいりますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
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