raison d'être

raison d'être

1st Collection

raison d'être

存在価値

顧みなければならない、失われつつあるものを。
繋げていかなければならない、大切な存在との縁を。
伝えなければならない、人の手が生み出すものを。
忘れてはならない、仕事が職人を育てるということを。

大切な人に向かい、心を通わせるかけがえのない時間。
工芸職人たちの、人の手が生み出す至高の技術と品々。

そのために私たちは、自らの行いを見つめ直し、熟考し、
創り出される存在と事象を、問い掛け、評価を受ける。
新たな時代に“欲しい”と思い、“必要だ”と云わせる
価値を生み出していくために。

raison d'être
craftsmen short ver
raison d'être
craftsmen long ver
raison d'être(レゾンデートル)に込められた想い

raison d'être に
込められた想い

レゾンデートルとは、存在価値を表すフランス語です。

ライフスタイルの変化とともに姿を消しつつあるものが二つあります。それは仏壇と工芸技術。昔は誰に家にでも置いてあった仏壇、建築物だけでなく家で使う食器などでも普段から触れていた工芸によって作られたモノ。私たちが子供のころは身近にあった存在が、これからの子どもたちには存在しない状態が当たり前になりつつあります。時代の変化とともに失われていくものは多いですが、その中に残すべき価値の在るものもあったはずです。気付かないうちになくしてしまう前に、もう一度その価値を問い直したいと私たちは考えました。

それは決して宗教的な観点からではなく、“仏壇” や“工芸”という存在が果たしてきた暮らしの中に於ける役割を見つめ直すことでした。

“仏壇”が与えてくれる1日の中のひとときの時間や家族の繋がり。“工芸”が与えてくれる人の手による手作りの風合いや感触。日本に残すべき文化や習慣に介在するモノを今一度皆さんと見直してみたいと思ったことからレゾンデートルは始まりました。

板坂 諭倉本 仁永山祐子名和晃平橋本夕紀夫眞城成男

6組のクリエイターが
辿り着いた6通りの答え

仏壇の存在価値と、工芸の技術を暮らしの中に取り入れてもらうための本プロジェクトでは、ひとつひとつの作品に複合的な伝統工芸の技術を取り込んでいます。それは寺社仏閣や実家にあった仏壇と同じように、漆塗、金箔押し、錺金具、蒔絵、彩色などさまざまな工芸技法の集合体として作られています。

今までにない新しい仏壇や祈りのカタチを考える上で最も大切にしたことは、脈々と受け継がれてきた歴史・文化・技術の背景をしっかりと捉え、新しい様式の中に生まれ変わらせることでした。時代にとって変化するべきものと、継承され受け継がれる価値を残すこと、その両立がこのプロジェクトの根幹でもあります。

そのため、お仏壇という存在を、寺院のミニチュアをご家庭に祀っていたという建築的側面、家の中の人の集まるところに配されるインテリアとしての側面、手を合わせ祈りの対象となるオブジェとしての側面。その3点を抜き出し再構成することに挑戦したのです。建築家、インテリア・プロダクトデザイナー、アーティストなど国内外で活躍する6組のクリエイターに、仏壇の存在価値と、祈りを伴う時間の価値、そして伝えていくべき工芸技術の価値を見据えたうえでそれぞれの思い描く祈りのカタチを表現していただきました。

参画クリエイター:板坂諭・倉本仁・永山祐子・名和晃平・橋本夕紀夫・眞城成男(※五十音順)

raison d'être(レゾンデートル)─ 仏壇の持つ価値と伝統工芸の可能性

仏壇の持つ価値と
伝統工芸の可能性

仏壇は日本独自に生まれてきた文化ですが、大切な存在を失った時、思い出とともにその姿や身の回りのものを傍に置き、時として懐かしく思い浮かべるのは世界中で共通した根源的な行為です。そして大切な存在と向き合う時、人は懐かしさや寂しさだけでなく安らぎや優しさを感じ、同時に自分自身に向き合うとても個人的な体験を得ることができます。仏壇の持つ役割は宗教という概念を超えて、自分自身と向き合い心を解き放つきっかけとして、暮らしの中に新たな価値を与えていくことかもしれないと私たちは考えています。

そして伝統とは長い時代を経たことを表す呼称であるが故に、時代の変化に取り残されがちなイメージを持つこともありますが、江戸・明治・大正・昭和・平成、そして令和…。日本という国は政治的にも経済的にも文化的にも数多くの変化を乗り越えて今があります。伝統工芸は変化しなかったから残ってきたのではなく、変わり続けてきたからこそ現代に残っているのではないでしょうか。変わらなかったのは時代のニーズや技術革新に晒される中で、挑戦と創意工夫の末に「ヒトの手が生み出す至高のモノ」を生み出し続けてきた職人の姿勢だけかもしれません。

  • animus〈板坂 諭〉
  • animus〈板坂 諭〉
  • animus〈板坂 諭〉
  • animus〈板坂 諭〉

animus 〈板坂 諭〉

永く残る仏壇のあるべき姿を模索する中で、大きく変化した現代人の価値観を仏壇という伝統的な素材と掛け合わせたとき、まずは思想や国、時代に関わらず、さらには人でもペットでもいつかはこの世を去り、残されたものは故人を想い、弔うという事実に着目した。その根本的な原則は、伝統的な約束事や宗教的な様式に縛られる必要がなく世界に共通した思想である。その結果、官能的で狂気をも秘めた形状で生と死の表現を纏い、故人への想い、故人の遺品(遺データ)を格納できる花器が生まれた。この仏壇は愛する故人へ向けて鎮魂と新生の祈りを込めた花を手向けることで完成する。

作者
板坂 諭
作品名
animus
サイズ
W270 × D169 × H66(目安)
素材
尾州檜・銅板・漆・金箔
職人技術
# 木地師# 塗師# 蝋色師# 箔押師# 彫金師# 鍛金師# 金属着色師
  • 祈像〈倉本 仁〉
  • 祈像〈倉本 仁〉
  • 祈像〈倉本 仁〉
  • 祈像〈倉本 仁〉

祈像 〈倉本 仁〉

既に今のライフスタイルに調和する現代的な様相の仏壇という切り口は市場にも多く見ることができるが、改めて「祈る」という行為を考えてみるとともに、その祈りの対象となる存在がどういったものであるべきなのか、その可能性を探ることにした。「仏壇」と故人を偲ぶ気持ちはとても近い場所にある。元来仏壇とは位牌を置く為の場所ではなく、祈りを捧げる対象としての存在だが、現在の暮らしの中では故人や先祖を祀る場所としての認識に変わってきている。その意味でもより個人的で内密なある種の特別な空間として大事に残していきたい文化だと思う。

作者
倉本 仁
作品名
祈像
サイズ
W136 × D136 × H215(目安)
素材
尾州檜・彩色顔料・金粉・金箔・銅板・陶土
職人技術
# 彫師# 仏師# 彩色師# 彫金師# 截金師# 挽物師# 陶芸師
  • 玉響厨子〈永山祐子〉
  • 玉響厨子〈永山祐子〉
  • 玉響厨子〈永山祐子〉
  • 玉響厨子〈永山祐子〉

玉響厨子 〈永山祐子〉

正直な話、自分の生活の中にはない要素だった。思い出したのは実家の仏壇。祖母にいわれて賞状や卒業証書を仏壇にあげにいったり、何かあると仏壇に報告していた記憶。その時、いにしえのご先祖さまとの繋がりの中に日常とは違う時間の流れを感じていた。今回、仏壇の最も原型に近い、厨子の形状を考えた。閉めた時には日常の中に溶け込み、開けるともうひとつの世界を感じる。そんな切替を仏壇の扉の“ 開け閉め”で表現したいと思った。仏壇をあけた瞬間、もう一つの時間とつながり、自分を見つめ直すきっかけになる、そのとき仏壇はメディテーションの装置になり得る。

作者
永山祐子
作品名
玉響厨子
サイズ
W400 × D400 × H320(目安)
素材
尾州檜・漆・プラチナ粉・金粉・金箔・銅板
職人技術
# 木地師# 塗師# 蝋色師# 蒔絵師# 彫金師# 截金師
  • 鳳/凰(未完)〈名和晃平〉
  • 鳳/凰(未完)〈名和晃平〉

鳳/凰(未完) 〈名和晃平〉

小さい頃に見ていた仏壇では、内部の装飾や様々な意味付けのある形、その造形性に惹かれていた。チーンとおりんを鳴らしてお祈りする「あの時間」は心の中に特別なスペースができるような不思議な感覚で、瞬間的な瞑想体験とも言える。実はそのスペースが、人がインスピレーションを受け取る場所なのだと思う。様々な仏壇のあり方をリサーチする中で、日本式の住空間と密接な関係を持ち、近代化によって行き場がなくなり、コンパクトでシンプルなデザインの仏壇はあるが、自分は同じような仏壇をデザインする立場にはないと感じ、全く異なったアプローチに興味が向いた。それが鳳凰だった。

作者
名和晃平
作品名
鳳/凰(未完)
サイズ
W690 × D753 × H1000(目安)
素材
赤松・漆(予定)・金箔(予定)
職人技術
# 仏師# 塗師# 箔押師
  • magokoro〈橋本夕紀夫〉
  • magokoro〈橋本夕紀夫〉
  • magokoro〈橋本夕紀夫〉
  • magokoro〈橋本夕紀夫〉

magokoro 〈橋本夕紀夫〉

仏壇とはそこに祀られる方も、それを取り囲む様々な人も、気持ちを通じあわせる為の形であるといえる。仏壇づくりの現場から感じたことは仏壇という工芸技術の集合体が日本の伝統技術の継承を強く担っているということである。なかでも完成品では漆や金箔に覆い隠される木地の細かなディティールの集積をそのまま見せることで技術を際立たせ、非常にトラディショナルな柱と屋根によって構成された木地のみの造形と、現代的でミニマルな金箔のボックスとを組合せるというデザインアイデアが生まれた。さらに伝統的なスタイルを継承しつつ現代的な生活シーンの中に置きやすい形状を実現した。

作者
橋本夕紀夫
作品名
magokoro
サイズ
W450 × D500 × H2000(目安)
素材
尾州檜・金箔・漆
職人技術
# 宮殿師# 塗師# 箔押師
  • Perch〈眞城成男〉
  • Perch〈眞城成男〉
  • Perch〈眞城成男〉
  • Perch〈眞城成男〉

Perch 〈眞城成男〉

人ではなくペットの仏壇ということから、慣習や宗教的な形式から一旦離れ、大切な存在へ向けて祈る、偲ぶということの本質へとよりシンプルに立ち返って考えることができた。また、こういった日々の祈りやそれに向き合う時間を持つことは、宗教や文化圏を越えて共有できるものと考え、意匠の面でも従来の仏壇の様式を思わせるものではなく、現代のライフスタイル空間の中で、オブジェの様に存在できるものを意識した。日常生活の中で自分自身の心に向き合う装置であり、心を整える小さな習慣のための美しい道具というのは、現代生活における仏壇の新しいあり方と考えられる。

作者
眞城成男
作品名
Perch
サイズ
W598 × D276 × H250
W386 × D235 × H330(目安)
素材
尾州檜・真鍮板・漆・金箔・彩色顔料 ウォールナット・桜
職人技術
# 木地師# 塗師# 蝋色師# 箔押師# 彩色師# 金属着色師

展示会レポート

Exhibition Report

raison d'être(レゾンデートル)1stコレクションは、東京の街を舞台に開催されるデザインとアートの祭典TOKYO DESIGNART(デザイナート)の期間に合わせて、2019年10月18日~27日までの10日間、東京・表参道にて展示を開催させていただきました。伝統工芸を用いた仏壇コレクションの発表というとても特殊な企画であったにも関わらず、展示会期中には総勢950名もの数多くのお客様にお越しいただけたことに多大な感謝を申し上げます。

若林佛具製作所では、本コレクションの第2段も企画していくとともに、仏壇の在り方や伝統工芸の職人たちの新たな活躍の場を広げるべく今度も様々なプロジェクトを通して発表の機会を作っていこうと考えております。仏壇のある暮らし、そして日本が誇る工芸技術を将来に伝えるべく活動してまいりますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

  • raison d'être(レゾンデートル)1stコレクション レセプションパーティー
  • raison d'être(レゾンデートル)1stコレクション レセプションパーティー
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  • raison d'être(レゾンデートル)1stコレクション レセプションパーティー
  • raison d'être(レゾンデートル)1stコレクション レセプションパーティー
  • raison d'être(レゾンデートル)1stコレクション レセプションパーティー
  • raison d'être(レゾンデートル)1stコレクション レセプションパーティー

Exhibition

2019.10.18(Fri)- 10.27(Sun) 11:00-19:00
GUM表参道 東京都港区北青山3-10-25

Reception Party

2019.10.21(Mon) 18:00-21:00
IWAI表参道 東京都渋谷区神宮前5-6-15

参加職人

木地師: 岡田修
宮殿師: 北川正明
彫師: 横大路智也
塗師: 牧野俊之
蝋色師: 倉本忠弘
蒔絵師: 下出祐太郎
彩色師: 須藤享
箔押師: 中澤孝司
彫金師: 島田雅喜
鍛金師: 金谷五郎三郎
仏師: 須藤隆
截金師: 須藤忍
金属着色師: 長谷川聡
挽物師: 綾部之・久保出章二
陶芸師: 市川博一

会場

会場空間構成: 板坂諭
グラフィック・サイン計画: 内田喜基 + cosmos
写真・動画撮影: 中島光行・畔柳尭史